臨床心理士になるには?なり方や必要な資格、適性など解説します
あなたは今「臨床心理士」という職業のなり方に興味をお持ちのことと思います。
臨床心理士になるためには、なり方のステップ、求められるスキルや資格、適性など、臨床心理士に関する知識を網羅的に把握することが大切です。
この記事を読んで、実際になるためのアクションを起こす準備を整えましょう。
あなたは今「臨床心理士」という職業のなり方に興味をお持ちのことと思います。
臨床心理士になるためには、なり方のステップ、求められるスキルや資格、適性など、臨床心理士に関する知識を網羅的に把握することが大切です。
この記事を読んで、実際になるためのアクションを起こす準備を整えましょう。
臨床心理士とは、心の問題を抱えている患者に対して臨床心理学に基づくカウンセリングやテストを行い、明らかになった問題を解決するべくサポートをする仕事です。
場合によっては、他の専門家と協力をして心の問題が解決できる環境をつくることもあります。
なお、臨床心理士の資格というのは、国家資格ではなく認定資格です。
医師として医療行為はできません。
臨床心理士がいつからあるのかというと、昭和28年の国会で「カウンセラー設置に関する建議」が決議されたのですが、心理臨床学会などの関連団体により「日本臨床心理士資格認定協会」が設立されたのは昭和63年のことです。
そして、臨床心理士の第一号は、翌年の平成元年に誕生しました。
臨床心理士になるのには、「日本臨床心理士資格認定協会」が実施する認定試験に合格する必要があります。
認定試験の受験資格は、臨床心理士養成に関する指定大学院(1種・2種)を修了する、あるいは臨床心理士養成に関する専門職大学院を修了する、海外で指定大学院と同等の教育を受け日本国内で心理臨床経験を2年以上有する、医師免許を取得し心理臨床経験を2年以上有する、の4つです。
日本国内で臨床心理士を目指すのであれば、指定大学院あるいは専門職大学への入学を目指すのが、一般的な方法でしょう。
なお、大学が心理学部ではない他学部であったとしても指定大学院あるいは専門職大学の入学試験は受験はできます。
「日本臨床心理士資格認定協会」が実施する認定試験は、年に1回、10月から11月頃に開催されます。
一次試験は100題の多肢選択方式試験と、既定のテーマ1題について1001字以上1200字の論文を書く論文記述試験が出されます。
多肢選択方式試験と論文記述問題は同一日に実施されます。
一次試験の多肢選択方式試験で一定の水準に達したら、二次試験の口述面接試験に勧めます。
専門的な知識に加えて、臨床心理士としての心構えも問われます。
一次と二次の試験を通過できたら合格ですが、その時点ではまだ臨床心理士ではありません。
資格認定証書の交付と資格登録の手続きを済ませた時点で資格認定が終了します。
臨床心理士として就職・転職をしたいのであれば、就職・転職サイト、学会や職能団体、ハローワークなどで求人情報を探すというのが、主なやり方です。
就職支援が充実している学校に入れば、就職先を紹介してくれることもあるでしょう。
他にも同じ学校のOB・OGや知人に連絡を取って、就職・転職先を紹介してもらうということもあります。
臨床心理士の就職・転職において、常勤職と非常勤職という働き方がありますが、実績がないときには常勤職を得るのは難しいです。
最初は複数の非常勤職をかけもちして、実績を積むという人が少なくありません。
臨床心理士は、テストや面談を通じて、患者にどのような精神疾患があるのか、精神疾患だとすればどのような状態なのか、発達障害の可能性はないのか、といったことを明らかにしていきます。
その際には、患者が言葉にすることだけでなく、表情や何気ない行動から心の内面を理解する観察力が必要です。
また、集めた情報を正しく分析する力も必要です。
患者自身、自分に何が起きているのかをわかっていないことが多いので、専門手的な知識を活かして解き明かす必要があります。
観察と分析を通じて心の問題を突き止めた後、解決をするためには正確に情報を伝えられる言語能力と患者の信頼を勝ち取れるだけのコミュニケーション能力も必要となるでしょう。
臨床心理士試験に合格するためには、心理学の基本的な概念や理論を理解することが必要です。
心理学の歴史、発達心理学、認知心理学、行動主義などの分野について学習します。
また、臨床心理学の専門知識を習得することも重要です。
心理療法の理論や技法、精神障害の診断基準、治療プランの立案などについて学びます。
また、実際に臨床心理士になった時に必要な観察力を身につけたいのであれば、他者に興味を持ち日常的に人を注意深く観察することを心がけましょう。
普段は見過ごしてしまうような人の動きに注目すれば、どのようなことをしているのかを把握できます。
その観察を通じて得た情報が、何を意味するのか考えることで分析力を鍛えることができます。
他にも実務で必要な分析力を磨くためには、裏付けとなる知識も増やさなければいけないので、臨床心理に関する書籍を読み込んだ方が良いです。
言語能力は、メモなどを利用して情報の取捨選択を行い、わかりやすい説明ができるように練習をしましょう。
コミュニケーション能力は、患者に好印象を与えられるように鏡を前にして柔和な表情を浮かべるとか、滑舌や程よい音量で話せるように発声練習をすると効果があります。
専門の教育機関を経て認定試験に合格し晴れて臨床心理士となったら、医療施設や保健施設、学校、公務員などが主な就職・転職先です。
経験を積んで周囲からの信頼も得られたら、それぞれの職場で責任ある立場になることもできるでしょう。
例えば公務員臨床心理士の場合、少年院や刑務所などで働く法務技官となり幹部を目指す道があります。
しかしながら、小さい施設で出世するような役職がない、常勤職ではなく非常勤職といったといった場合には、長く働いても立場が変わらない事も考えられます。
臨床心理の現場で働くことに喜びを見いだせるのであれば、そういう状況でも続けることができるでしょうが、キャリアアップを考えるのであれば転職を検討した方が良いです。
臨床心理士の平均年収は、300万円から400万円ほどを言われています。
一般的なサラリーマンの平均年収が450万円から460万円ほどですから、その水準よりも低いと言えます。
無論、勤務先によって年収には差があり、公務員であれば民間で働くよりも若干高いとされています。
勤務年数が長くなれば、年収が600万円を超える水準になるでしょう。
臨床心理士として1000万円を超える高額収入を得ることは、施設の職員や公務員の給料だけで実現するのは難しいです。
本を書いて知名度を高めセミナー・講演会を開催する、独立をして自分のオフィスを構えるなどの工夫をするなどで収入を増やすことができれば、年収1000万円超となる可能性はあります。
それだけの成功を収めるのは用意なことではないですが、挑戦してみるのも選択肢の一つです。
臨床心理士として活動するメリットは、就職先や患者からの信頼を得られることです。
臨床心理士は、国家資格ではなく認定資格ではあるものの、資格取得者に対する信頼度が高いという特徴があります。
特別な資格を持たずに心理カウンセラーを名乗る人と専門の教育機関で学び認定資格に合格する必要がある臨床心理士がいる場合、就職先も患者も臨床心理士の方を選ぶでしょう。
場合によっては、臨床心理士の資格を取得していないと採用されない職場もあるので、応募する前に諦めずに済みます。
結婚や出産のために仕事を辞めたときにも、無資格でいるよりも臨床心理士であった方が再就職がしやすくなります。
心理に関わる仕事を目指す人であれば、とりあえず臨床心理士の資格を取っておいて損はありません。
臨床心理士のデメリットは、精神的な負担が大きいことが挙げられます。
心の問題を抱える患者と向き合うためには、幼児期の虐待や職場でのパワハラなど暗い出来事を聞かなければいけません。
仕事だからと割り切っていても、患者の境遇に同情して、自分も傷つくことがあるでしょう。
また、問題を解決するべく力を尽くそうとしても、大したことが出来なかったり期待する効果がでなかったりするときには、患者が怒りをぶつけてきます。
そうしたことを長年続けていけば、臨床心理士自身の精神がすり減って限界を超える危険性もあります。
そのように辛い仕事であるのに、給料があまり良くないこともデメリットです。
2017年には国家資格である公認心理師が登場したことで、臨床心理士の出番が減ることも予想されるので将来的にこの状況がさらに悪くなる可能性もあります。
臨床心理士に向いているのは、心の問題を抱える患者の力になりたいと心から願う人です。
人のために苦労することを厭わない、世話好きな人ほど臨床心理士で活躍できるでしょう。
さらに病気や怪我のような目に見える問題ではなく、精神疾患などの目に見えない問題に強い興味を持っていることも、臨床心理士には求められます。
臨床心理士という仕事は、資格を取得できたら、そこで勉強が終わりというものではありません。
常に新しい心理学の研究成果がでてくるので、それを学んで仕事に反映できるように勉強を続けることも必要です。
勤勉で地道な努力を積み重ねられる人が良いでしょう。
また、患者とコミュケーションを取るには明るく社交的な性格が向いています。