【就活/転職】社会人500人のアンケートから自己分析に重要な項目を統計で考えてみました
就活や転職活動の際に、
「自分に合う仕事や職場を見つけるにはまず自己分析が必要だ」
と聞いたけども、
「一体どんな項目を押さえれば良いのかわからない・・」
という悩みを持つ人は多いのではないでしょうか?
そこで今回はそんな方々のために「自己分析に重要な項目」を考えてみました。
考えたと言ってもただの思い付きで挙げた項目では意味がありません。
世の中の自己分析手法は個人の体感や経験で紹介されているものも多く、何かの裏付けをベースにしているものは少ないと感じます。
そんな状況を打破するために、この記事では現在働いている社会人の方々へのアンケートを実施、分析し、統計的に重要だと考えられる自己分析項目を検討してみました。
多数の意見をベースに出された項目ですので、科学的に正しいというレベルまでではありませんが、少なくとも個人の体感や経験談よりは万人に適用しても良いのではないかという項目群となっています。
検証の切り口は他で紹介されている自己分析手法と少し異なりますので、
「自己分析について色々な記事や情報を見たけども、本当にこれが大事な項目かわからない」
という方は是非最後まで読んでみてください。
- この記事の対象者:自己分析の項目がわからなくて悩んでいる、どちらかと言えば自己分析の初心者
- この記事で説明する事:アンケートの分析結果と、結果から見えてきた重要な自己分析項目
- 読後のメリット:自己分析で考えておくべき重要な項目がわかる
アンケートの概要
今回は仕事や職場の満足度を高める要因を探るため、以下のようなアンケートを行いました。
質問:以下の10の項目について、あなたの現在の満足度をお答えください。満足度は5点満点の5段階評価です。
- 仕事内容
- 仕事への適性
- 給料/福利厚生
- 勤務地
- 社員の人柄
- 労働時間
- 会社の将来性/安定性
- 社風/雰囲気
- 知名度/世間体
- 5点:非常に満足だ
- 4点:まあまあ満足だ
- 3点:どちらとも言えない
- 2点:あまり満足でない
- 1点:全く満足でない
アンケートの対象者は以下の通りです。
- 時期:2020年2月
- 人数:500名
- 年代:20~39歳の男女
- 職業:会社員、公務員、経営者・役員、自営業、自由業
満足度を高める要因の分析方法
このアンケート結果の「総合的な満足度(項目No.10)」と「各項目の満足度(項目No.1~9)」にどの程度関連があるかを調べることによって、満足度に影響がある要因を見つけます。
例えば、「総合的な満足度(項目No.10)」と「仕事内容(項目No.1)」の関連を分析して、以下のような関係が確認できれば関連があるということになります。
- 仕事内容の満足度が高い → 総合的な満足度が高い
- 仕事内容の満足度が低い → 総合的な満足度が低い
相関分析で関連をチェック
今回は各項目と総合満足度の関連を調べるため、相関分析を利用しました。
相関分析とは、ある2つの項目に関連があるかを調べる分析手法です。
少し難しいかもしれませんが、まずは相関分析の説明からします。
相関分析では以下のように一つ一つの項目との関連を探っていきます。
- 総合満足度×仕事内容の相関
- 総合満足度×仕事への適性の相関
- ・・・
- 総合満足度×知名度/世間体の相関
相関分析をすると、相関係数という関連を表す度合いの数値が出まして、これは関連の強い弱いを表す数値となります。
相関係数は必ず-1~1の間になります。
相関係数の目安は以下の通りになります(マイナスの場合は逆の関連)。
- 0.7~1:かなり強い相関がある
- 0.4~0.7:やや相関あり
- 0.2~0.4:弱い相関あり
- 0~0.2:ほとんど相関なし
例えば「仕事内容」と「総合」の満足度の相関係数が0.5だとします。
そうすると0.5は0.4~0.7の間にありますので、「やや相関あり」となり、仕事内容と総合満足度の間に関連があることが確認できます。
逆に相関係数が0.1とかになった場合は、2つの項目の間に関連がないことがわかります。
難しい、と感じる方も結果を見た方がイメージがしやすいと思いますので、早速結果を見ていきましょう。
結果
結果は以下の通りです。
※スマホ・タブレットの方は表を横にスクロールして下さい。
満足度 | 仕事楽しい | 強み活かせる | 成長できる | 人間関係良好 | 価値観合う | 給料が良い | 会社安泰 | 福利厚生 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
仕事楽しい | 0.53 | - | - | - | - | - | - | - | - |
強み活かせる | 0.49 | 0.66 | - | - | - | - | - | - | - |
成長できる | 0.49 | 0.54 | 0.53 | - | - | - | - | - | - |
人間関係良好 | 0.47 | 0.43 | 0.37 | 0.41 | - | - | - | - | - |
価値観合う | 0.56 | 0.54 | 0.49 | 0.57 | 0.45 | - | - | - | - |
給料が良い | 0.45 | 0.30 | 0.23 | 0.29 | 0.21 | 0.40 | - | - | - |
会社安泰 | 0.44 | 0.37 | 0.34 | 0.37 | 0.26 | 0.42 | 0.42 | - | - |
福利厚生 | 0.41 | 0.27 | 0.21 | 0.24 | 0.26 | 0.31 | 0.42 | 0.39 | - |
勤務地 | 0.40 | 0.21 | 0.24 | 0.27 | 0.23 | 0.30 | 0.20 | 0.23 | 0.22 |
ピンクの枠で囲った部分が総合満足度で、総合満足度と各項目の満足度との関連が一番左の列の数値となります(それ以外の数値は、各項目同士の関連です)。
全ての項目で関連が確認された
なんと驚くことに、全項目である程度の関連が確認されました(相関係数0.4~0.7:やや相関アリ)。
いくつかの項目で関連が出ることは予想していましたが、まさか全ての項目でここまで関連が確認できるとは思ってもみませんでした。
職場の満足度は特定の項目だけが満たされていれば良いのではなく、バランスが重要なのだということがわかりました。
1位は価値観が合う
そんななかでも最も関連が確認されたのは「価値観が合う」で相関係数は0.56と高いものとなりました。
ここで挙げる価値観は以下のようなものです。
- ワイワイにぎやかなオフィス
- クリエイティブな直感よりもロジカルな数字重視
- 個人プレーよりもチームプレー重視
- 確実性よりスピード重視
- 現在は都会勤務
- ルールはあまり整備されておらず、各人自由に進めている
- 安定よりも挑戦を求められる
- 似たような人の集まりではなく多様なメンバーがいる
- やりがいが大きい仕事ができている
- 下の社員達の提案/アイデアが尊重される社風
こういった自分が職場に求める価値観と実際の職場の状況のマッチ具合を価値観が合うという形で表現しています。
自分が大事な価値観をしっかりとまとめて、それに合う職場を探すことが入社後に満足度を上げることに非常に重要であることがわかりますね。
2位は仕事が楽しい事
2位は仕事内容が好き、楽しいと感じるかどうかでした。
これも非常に重要な項目のようです。
入社前に希望する仕事につけると考えて入社したけども、入社後に希望しない仕事を担当することになり、その仕事が合わずに辞めるという理由は新卒の退社理由としても上位に上がるものです。
これを避けるためには、職種別採用や仕事内容の希望の通りやすい会社を狙うのがよさそうですね。
最も高い関連は仕事が楽しいことと強みを活かせること
満足度の話ではないですが、今回最も関連が強かったのは「仕事が楽しい」ことと「強みを活かせる」ことでした。
楽しいからできるようになって強みと感じるようになったのか、強みで結果が出たから楽しくなってきたのか、など順番はわかりませんが、とにかく仕事の楽しさや強みを意識して仕事をすることは非常に大事なことであるようです。
1位の価値観同様、仕事への興味や強みについては優先度の高い項目として考えておいたほうが良いですね。
強みと性格の関連
ちなみに今回のアンケートでは扱っていませんが、過去に行った調査で強みと性格の関連が確認されています。
性格に合った行動を続けることによって、それが強みとなっていきます。
強みがわからないときは、適職診断などを使って自分の性格をまずは把握しましょう。
性格を知ることによって強みが見えやすくなってきます。
詳細は以下の記事でご確認ください。
【仕事アンケート調査】5つの性格別に「強み・弱み」を分析したら色々納得だった
まとめ
結果をまとめると、今回の分析からわかった重要視したほうがいい項目は以下のようになります。
- 価値観
- 楽しい仕事内容
- 強み
- 性格
- 職場の人間関係
- 成長できる環境
- 勤務条件(給料、安定性、福利厚生、勤務地)
少し項目として多いですが、少なくともこれらをしっかり押さえて就活や転職活動にのぞみましょう。
これらを知るための自己分析が必須ということですね。
なお、今回のアンケートでは調査しなかった項目を追加することによって、新しい重要項目が出てくるかもしれません。
次回追加調査する際にはそれらの項目の追加も検討したいと思います。