マトリクス分析で適職を見つける - 就活転職の自己分析
今回は興味と能力を2軸にした「マトリクス分析」を行いましょう。
マトリクス分析とは、マトリクス(行列)を使った分析のことで、マーケティングの世界などでよく使われる分析手法です。
最もシンプルなマトリクス分析は2つの異なる項目を2軸として分類する方法であり、今回の自己分析でも
- 興味(好きか嫌いか)
- 能力(得意か苦手か)
の2軸を使ってマトリクス分析を行います。
この2軸に業界への興味をプラスすることで、あなたの適職を明らかにすることができます。
また、適職が見えるだけでなく、その過程で知った自分の興味や能力について深く知ることで、キャリア選択が楽になったり面接やESをスムーズに対応できたりといった効果も期待できます。
マトリクス分析を使うと、1つの項目だけでは見えてこなかった新しい側面が見えてきます。
複雑で難解な課題に対してマトリクス分析を適用することで、シンプルに物事を整理することができます。
「自己分析は重要だと感じているけど、どうしても難しくていい答えが導けない・・」
という悩みをお持ちの方は、最小限のワークだけど最大限の効力を得られる可能性があるマトリクス分析をまずやってみることをおススメします。
面接では以下のような質問に答えられるようになるでしょう。
- あなたはどんなことに興味があって、どんなことに興味がない人ですか?
- あなたが得意なこと、苦手なことは何ですか?
- なぜこの職種を志望したのですか?
- あなたは当社にどのような貢献ができますか?
ちなみに、マトリクス分析は自己分析だけでなく仕事や日常における課題を解決する際にも大きな効果を発揮しますので、今回学んだ手法を応用して今後の人生の課題解決にも是非活用して頂ければと思います。
実践
それではマトリクス分析を作っていきましょう。
所要時間は約30分、6Stepで完成することができます。
興味:好きなこと、嫌いなことを7つづつ選ぶ
まずは興味(好き、嫌い)について分析しましょう。
以下の作業一覧から、あなたの好きなこと、嫌いなことを7つづつピックアップしてください。
※選んだ7つに優劣はつけなくてOKです。
作業一覧 | |||
---|---|---|---|
モノづくり | 人と会う | 交渉する | アイデアを出す |
リーダーシップ | 調べる | 整理整頓 | 外に出る |
サポートする | 文章を書く | 器用 | 予測する |
計算 | 問題解決 | 暗記する | デザイン |
細部に気が付く | 人を励ます | 人を説得する | 心を読む |
身体を動かす | 設計する | 組み立てる | 分析する |
話を聞く | 育てる | 素早く対応する | ロジカルに考える |
管理する | 計画を立てる | 同じことを続ける | 人前で話す |
教える | 自己犠牲 | 行動する | 人に強く言う |
選ぶ際には、必ず自分が好きかどうか、嫌いかどうかだけで判断してください。
次以降のワークで「好きだけど何故か上手くいかない」「嫌いだけど何故か上手くいってしまう」といった分析も行っていきますので、ここではとにかく自分の興味だけで選ぶことが大切です。
直感的に選んでもOKですし、エピソードを思い浮かべながら深く考えつつ選んでもOKです。
興味:業界
次に、あなたが興味を持っている業界を7つあげてください。
今回は「興味がある」という観点だけでOKです。
本当に行きたい業界、だけでなく何となく興味がある程度でもOKです。
ここだったら行ってもいいかな、という業界を挙げることが大切です。
能力:得意なこと、嫌いなことを7つづつ選ぶ
興味のリストアップが終わったら、次は能力の分析です。
興味の時と同様、以下の作業一覧から、あなたの得意なこと、嫌いなことを7つづつ挙げて下さい。
作業一覧 | |||
---|---|---|---|
モノづくり | 人と会う | 交渉する | アイデアを出す |
リーダーシップ | 調べる | 整理整頓 | 外に出る |
サポートする | 文章を書く | 器用 | 予測する |
計算 | 問題解決 | 暗記する | デザイン |
細部に気が付く | 人を励ます | 人を説得する | 心を読む |
身体を動かす | 設計する | 組み立てる | 分析する |
話を聞く | 育てる | 素早く対応する | ロジカルに考える |
管理する | 計画を立てる | 同じことを続ける | 人前で話す |
教える | 自己犠牲 | 行動する | 人に強く言う |
今度は、自分がその作業に興味があるかどうかは一切考えないでください。
あまり意識してないけど他人からすごいと言われることやダメ出しされるといった、能力という観点だけで考えることが大切です。
学生時代、嫌いだし大した努力をしていないのに何故か成績が良いという科目があったりしませんでしたか?
それはあなたが嫌いだけど得意な科目です。
能力だけに絞って分析することで、このあとのワークでそのような分析がしやすくなります。
4つの領域に分類する
ここまでで興味と能力のピックアップが終わりました。
次は結果を4つの領域に分類する作業です。
ここがマトリクス分析と言われる部分ですね。
興味と能力で挙げた7つのリストを使って、挙がっている項目を4つの領域にわけてください。
- 好き×得意
- 嫌い✕得意
- 好き×苦手
- 嫌い✕苦手
興味と能力のリストを見て、両方に挙がっているものは、①か④に分類されるはずです。
片方にしか登場しないものは②か③に分類されるはずです。
良く見比べて分類作業を行いましょう。
やり方を理解してしまえば全く難しい作業ではありません。
どの領域で勝負するか決める
さて、ここまでの作業で興味×能力のマトリクス分析は終わりました。
ここからは、あなたがどこの領域を選んで仕事や職種を選ぶか決める作業です。
4つの領域の中で、あなたはどこの領域を仕事に選ぶでしょうか?
1つでも複数でも構いませんので、自分の価値観で決めてください。
なお、決める際には以下の領域ごとの説明を読んでから決めるようにしてください。
納得した上で領域を選ぶことが大切です。
領域の説明
① 好き×得意
「① 好き×得意」の領域は、あなたが興味があり、かつ得意で結果が出せる領域です。
仕事に対するモチベーションがあるので、時間をかけて能力を伸ばすことも苦ではありません。
さらには得意であるため能力の伸びも早く、結果がどんどん出るというキャリアで最も好循環になる領域です。
できることならこの領域を選ぶのが幸せなキャリアを歩む秘訣です。
② 嫌い✕得意
この領域の仕事を選ぶと、人によって2パターンの結論が待っています。
1つ目は、最初は嫌いだったけど、結果が出るし面白みもわかってきて、結果として「①好き×得意」に移行するパターン。
2つ目は、嫌いな事なのに成果が出るからその仕事ばかり回ってきて、嫌気がさして辞めたくなってしまうパターン。
どちらに転ぶかはわかりませんが、どちらにせよ仕事で成果は出やすいので、悪い領域ではありません。
③ 好き×苦手
「③ 好き×苦手」の領域は、あなたにとってやりたいことで自分は楽しいけども、あまり上手くできないので周りからしたら迷惑だと思われる、という領域です。
仕事の成果を出すには得意である方が有利ですが、この領域は結果が出にくいので、選んだ人は苦労することになるでしょう。
この領域にいる場合、やるべきことは2つにわかれます。
1つ目は、苦手だけど好きなので人の2倍努力して得意と思える領域に行く、つまりは努力で「① 好き×得意」に持っていくパターンです。
もうひとつは、好きだけど成果が出ないので、この領域を捨てて、別の「① 好き×得意」もしくは「② 嫌い✕得意」の作業を選びなおすパターンです。
どちらにせこの領域に居続けると、仕事で周りに迷惑をかけてしまう可能性があるので、自分がこの領域にいると気づいたらどちらかの対処が必要になります。
④ 嫌い✕苦手
「④ 嫌い✕苦手」の領域は、あなたにとってやりたくもないし、得意ではない、という4つの中では最悪の領域であると言ってよいでしょう。
好きでこの領域を選ぶ人は少ないと思います。
しかし、会社の事情や、入ってしまった会社に騙されるような形でこの領域の仕事を強制される人は少なくありません。
この領域に自分がいると思ったら、すぐに別の領域に移行することをおススメします。
もし、この領域で自分のまだ見ぬ才能を見つけたい、と考える人がいるのであれば、目標や期間を決めて、必要な能力を身に着けるまで、と考えたほうがよいでしょう。
人生の時間をこの領域で過ごし続ける理由は少ないので、できるだけ避けていきたい領域です。
選び方のコツ
もしあなたがどうしてもやりたいことや結果が出ることにこだわりたいのであれば、「①好き×得意」だけに絞ると良いでしょう。
あなたにとっての適職はその領域だけにしかない、と絞り込んでしまうことで、適職の範囲を狭めることができます。
もう少し幅広く適職を探したい、というのであれば、得意で選ぶパターンである「①好き×得意」と「②嫌い✕得意」の2領域を選ぶと良いでしょう。
得意=仕事で結果が出やすい軸という選び方になります。
また、興味で選ぶパターンである「①好き×得意」と「③好き✕苦手」という選び方もあるでしょう。
どうしても自分の好きな事を仕事にしたいけど、幅は広げて探したいという場合におススメの選び方です。
なお、全ての領域をありにして選ぶのは避けるようにしましょう。
選ぶ領域が3つ、4つになってしまうと絞りこむことができなくなってしまいます。
興味のある業界と組み合わせて適職を見つけ出す
それでは、最後のステップです。
2で選んだ興味のある業界と5で選んだ領域の作業を使ってあなたにとっての適職を出していきます。
図のように左に興味のある業界、右に選んだ領域の作業を並べてください
そしてこれを図のように掛け算していきます。
表を作り終えたら、その業界でその能力が求められる職種は何か?という観点で職業名を入れてください。
大体の人は思い浮かばないと思いますので、検索などで調べるようにしてください。
例えば、「広告業界」で「アイデアを出す」だったらコピーライターや広告プランナーの仕事があると思いますし、「IT業界」で「ロジカルに考える」だったらエンジニアやデータサイエンティスト、コンサルタントなどの仕事が見つかるでしょう。
これらの作業で見つかった職業名がマトリクス分析でわかるあなたの適職です。
適職といってもまだやったことがないので、本当に合うかは未知数ですが、少なくとも今あなたが望んでいる方向にマッチする職業という意味での適職にはなっています。
職業をピックアップし終わって、あなたがその職業に興味をやってみたいと思えるようであれば、自分の適職としてその職業を軸に就活や転職を行っていくことで満足度の高いキャリアを獲得できる可能性が高まります。
是非ここで分かった適職を最大限活用してみてください。
まとめ
今回は興味と能力を軸にしたマトリクス分析を行い、あなたの適職を明らかにしました。
就活や転職といったキャリアの岐路において自分の興味や能力、適職について深く知っていると、迷わず自信を持って道を進むことができるようになります。
今どうしていいかわからないという人は、マトリクス分析を行って自己分析のスタートを切ってみましょう。
要領がわかってくると、他の分析手法で様々なことを明らかにすることもスムーズに行えるようになってきます。
理想のキャリアを手に入れるための第一歩としてマトリクス分析を十分に活用するようにしましょう。