このページでは、当サイトで収集・分析した自己分析に必要な項目の詳細を説明します。
当サイトでは、自己分析に必要な項目を
- 独自のアンケート調査
- 世界中のキャリア心理学に関する科学論文
の結果から決めています。
各コンテンツでご紹介してきた分析結果をノウハウとして1ページに凝縮してご紹介します。
今後も調査を引き続き行っていきますが、情報が更新され次第このページも随時更新していきます。
2021年6月までの調査結果
現在自己分析で必要だと考えている項目(仕事満足度を高める項目)は以下の通りです。
- 興味(好き・嫌い)
- 能力(強み・弱み)
- 性格
- 価値観
- 人間関係
- 金銭条件(給与・福利厚生)
- 職場環境
- 成長感
- 会社の将来性・安定性
また、意外と仕事の満足度とは関係の低い項目は以下の通りです。
- 労働時間
- 勤務地
- 知名度
それでは各項目の詳細を随時説明していきます。
1. 仕事満足度との関連が高い項目
1-1. 仕事の楽しさ(興味)
1-1-1. 自分の興味に合った仕事は人生の満足度を高める
仕事と興味に関する研究は多く行われていますが、心理学者のアンジェラダックワース博士は著書「GRIT」の中で以下のように述べています。
- 興味について研究している科学者の10年に渡る研究の結果、人は自分の興味に合った仕事をしているほうが仕事に対する満足度がはるかに高いことが、研究によって明らかになった。
- これは100件以上の研究データをまとめ、ありとあらゆる職種の従業員を網羅したメタ分析による結論である。
- 自分の興味に合った仕事をしている人は、人生に対する全体的な満足度が高い傾向にあることがわかった。
- 過去60年間に行われた60件の研究データを集計したメタ分析の結果、人は自分のやっている仕事を面白いと感じているときのほうが、業績が高くなることがわかった。
- 自分の本来の興味に合った職種に就いている従業員たちは、業績もよく、同僚たちに協力的で、離職率も低いことがわかった。
- 自分の興味に合った分野を専攻した大学生は、成績が高く、中途退学の確率も低いことがわかった。
1-1-2. 仕事は徐々に好きになる
アンジェラダックワース博士によると、自らの仕事が天職であると答えた人のうちの多くが「これだ」と思うものが見つかるまでに何年もかかっていた。
また、そのあいだにさまざまなことに興味を持って挑戦してきたことがわかった。
今は寝ても覚めても、そのことばかり考えてしまうほど夢中になっていることも、最初から「これが自分の天職だ」と悟っていたわけではなかった、との報告をしている。
1-1-3. 仕事に満足している人は仕事が楽しいと感じている
当サイトでは以下のようなアンケートを若手社会人の方に実施しました。
- 時期:2020年2月
- 人数:500名
- 年代:20~39歳の男女
- 職業:会社員、公務員、経営者・役員、自営業、自由業
- 調査:仕事満足度に影響している項目
アンケートの結果を相関分析(ある指標とある指標が関連しているかの分析)したところ、「仕事の満足度」と「仕事の楽しさ」に相関係数0.53という高い関連を確認できました。
これは、仕事に満足していると回答した人が、仕事を楽しんでいる、という結果と読み解くことができます。
世の中の分析結果の多くは「世界」「20代~60代」「過去数十年」のデータであり、私たちは今回実施した「日本人」「20代~30代」「2020年」というデータがより現代の日本の仕事に関する価値観に近いと考えています。
1-1-4. 燃え尽き症候群には注意
好きな事を仕事にすることによって満足度が上がる反面、燃え尽き症候群に陥りやすいことも2010年のRobert J Vallerand氏らの研究によってわかっています。
- 仕事と自分が一体化しすぎて、仕事の生活と個人の生活のバランスが欠けてしまう
- デジタルの境界線を引くことに苦労する
- 仕事で後れを取らないように午後11時以降もメールを確認しなければならないと感じている
といった点が注意点として挙がっています。
仕事への熱中は人生の満足度を挙げてくれるが、ほどほどを意識する必要がありそうです。
1-2. 強み(能力)
1-2-1. 強みを活かして仕事をする多くのメリット
強みをベースにした仕事を提唱するギャラップ社の研究によると、強みを仕事に活かすことによって以下のようなメリットがあるようです。
- 仕事へのエンゲージ:6倍
- 得意な事をしているという認識:6倍
- 質の高い生活の認識:3倍
- 幸福度が高まる
- 自信が高まる
- 目標達成度が高まる
- 仕事の満足感が高まる
- 不安、悲しみ、ストレスが下がる
強みを意識した人材開発を行っている企業は
- 従業員エンゲージメントの向上:7~23%
- 売上高アップ:10~19%
- 仕事のパフォーマンス向上:8~18%
- 利益アップ:14~29%
という報告も上がっています。
1-2-2. 強みを活かしている人は仕事の満足度が高い
当サイトで実施した社会人500人へのアンケートを分析した結果、「仕事に満足している」と「強みを活かして仕事ができている」という回答に関連が見られました(相関係数0.49)。
また、転職経験者を対象に実施したアンケートにおいても、入社後に「仕事において強みを活かせている」「今の仕事に適性がある」と回答した人は仕事の満足度が高いという結果となりました。
仕事をするうえで、強みを活かせてる、と感じられるかどうかは仕事の満足度に大きく影響するようです。
1-2-3. 強みを活かすことと仕事が楽しいことに関係がある
先ほど仕事が楽しいと感じている人は仕事の満足度が高まると言いましたが、アンケートの分析結果より、「仕事が楽しいと感じる」と「仕事で強みを活かせている」という項目にはには高い関連が確認できました(相関係数0.66)。
つまり、強みを活かせていると仕事を楽しいと感じやすく、仕事の満足度も上がりやすいということが言えるでしょう。
1-3. 性格
1-3-1. ビッグファイブの結果と仕事の向き不向き
現在科学の世界で最も精度が高いと言われている診断方法、それが「ビッグファイブ」です。
ビッグファイブは決められた問題数の質問に回答すると性格を5つの特性で説明できるというものです。
資質は以下の5つです。
- 開放性:芸術や創造性、新しいものへの好奇心
- 協調性:他者への思いやりや共感
- 誠実性:勤勉性や責任感の強さ、自己コントロール能力
- 外向性:外界の人と積極的に交流しようとする姿勢
- 神経症傾向:周りからの刺激による感情や情緒の安定性
人間は誰でも上の5つの大小で性格を説明できる、という理論になっています。
ビッグファイブの結果と仕事の向き不向きについては、多くの研究がおこなわれており、関連が指摘されています。
2000年に調査された研究結果では職業と以下の適性が報告されています。
- 溶接工:(+)誠実性 (-)開放性、外向性
- パイロット:(-)神経症傾向
- 保険販売:(+)神経症傾向
- 警察官:(+)外向性 (-)協調性、開放性
- 販売員:(+)外向性 (-)協調性
2019年にマレーシアで行われた212人のエンジニアを対象とした研究では、エンジニアに向いているひとは協調性と誠実性が高いことがわかっています。
1-3-2. ビッグファイブと仕事の満足度の関係性
2002年にフロリダ大学で行われた10万人規模のメタ分析では、以下の結果が報告されています。
- 仕事満足度が高い:外向性、誠実性が高い人
- 仕事満足度が低い:神経症傾向が高い人
1-3-3. 転職や退職と性格の関係性
仕事を辞めやすい人は神経症傾向が高く、協調性と誠実性が低いことを報告している研究があります。
また、私達が実施した社会人500人へのアンケート調査においても、特に開放性と誠実性が転職に影響する結果となっています。
以下が結果です。
- 転職しやすい人:開放性が高い、誠実性が低い(平均転職回数1.6回)
- 転職しにくい人:開放性が低い、誠実性が高い(平均転職回数1.1回)
転職しやすい人と天職しにくい人とでは、実に50%もの差がありました。
自分が転職しやすいかどうか知りたい人や、候補者が転職しやすいかどうか知りたい面接官はビッグファイブの診断結果を活用することである程度判断できるわけです。
1-3-4. 性格と強み弱みは関連している
当サイトでのアンケート結果の分析によって、性格と強み弱みは大きく関連していることがわかりました。
つまり、ビッグファイブの診断を行うと、ある程度強み弱みの傾向が見えてくる可能性が高いということです。
以下が結果です。
- 開放性が高い人:【得意】人と会う 【苦手】モノ作り、整理整頓
- 開放性が低い人:【得意】調べ物をする 【苦手】リーダーシップ、人と会う
- 協調性が高い人:【得意】人を励ます、空気を読む 【苦手】人と会う、リーダーシップ
- 協調性が低い人:【得意】モノ作り、説得 【苦手】ロジカルに考える、整理整頓
- 誠実性が高い人:【得意】整理整頓、ロジカルに考える 【苦手】デザイン、人を励ます
- 誠実性が低い人:【得意】人と会う 【苦手】文章を書く、細部に気が付く
- 神経症傾向が高い人:【得意】調べ物をする 【苦手】人と会う、リーダーシップ
- 神経症傾向が低い人:【得意】人と会う、説得する 【苦手】整理整頓、細部に気が付く
- 開放性が高い人:【得意】アイデアを出す、モノ作り、デザイン 【苦手】計算、人と会う
- 開放性が低い人:【得意】手際よく対応、人を励ます 【苦手】モノ作り、デザイン
詳しく結果を知りたい方は以下の記事をご確認ください。
【仕事アンケート調査】5つの性格別に「強み・弱み」を分析したら色々納得だった
1-4. 価値観
1-4-1. 価値観が合う職場では満足度が上がる
私達が行ったアンケートの結果、仕事や職場に満足していると回答した人の多くが、「職場と価値観が合う」と答えていました。
価値観とは以下のような項目です。
- ワイワイにぎやかなオフィス
- クリエイティブな直感よりもロジカルな数字重視
- 個人プレーよりもチームプレー重視
- 確実性よりスピード重視
- 現在は都会勤務
- ルールはあまり整備されておらず、各人自由に進めている
- 安定よりも挑戦を求められる
- 似たような人の集まりではなく多様なメンバーがいる
- やりがいが大きい仕事ができている
- 下の社員達の提案/アイデアが尊重される社風
相関係数は0.56と高い数値を示しており、「仕事内容が楽しい」「強みを活かせている」「給与に満足している」などを押さえて1位という結果になりました。
「仕事や職場に満足している」と「職場と価値観が合う」の相関係数は0.56と高い数値を示しており、「仕事内容が楽しい」「強みを活かせている」「給与に満足している」などを押さえて1位という結果になりました。
1-5. 人間関係
1-5-1. 人間関係が良好だと仕事の満足度が高まる
アンケート結果から「仕事や職場に満足している」と回答した人は「人間関係が良好である」と回答した人と関連がありました(相関係数:0.47)。
職場選びに人間関係が重要であることが示唆されました。
1-5-2. 入社後に最も満足度を感じるのは良好な人間関係
2020年2月に実施したアンケートの結果、最も入社後に職場満足度を高めるのは「社員の人柄」でした。
ランキングは以下の通りです。
順位 | 項目 |
---|---|
1 | 社員の人柄 |
2 | 仕事への適性 |
3 | 仕事内容 |
4 | 給料/福利厚生 |
5 | 会社の将来性/安定性 |
1-5-3. 転職者の退職理由2位は人間関係
転職経験者500名に過去の転職の理由を尋ねたところ、1位は給料、2位が人間関係という結果となりました。
仕事内容や、仕事の適性、労働時間などを押させてかなりの得票数がありましたので、人間関係は仕事をするうえで非常に重要な指標をとらえるべきでしょう。
1-6. 金銭条件(給与・福利厚生)
1-6-1. 転職者の退職理由1位は給料・福利厚生
アンケートの結果、前職を退職した理由の1位は「給料・福利厚生」でした。
注目すべきなのは、満足度を高める要素のランキングでは給与や福利厚生は仕事内容や適性、人間関係といった項目に比べると低く出ている点です。
しかし退職理由の1位になっているということは、給与はある程度もらえていれば満足度にはそこまで影響はないが、給料が要求する水準より低いと人は転職したくなるということです。
満足の良く職場を選ぶ際に給与にこだわりすぎる必要はないようですが、考えずに入社してしまう、というのも後々後悔することになりそうです。
1-7. 職場環境
1-7-1. 理想の職場環境と現実の職場環境のギャップが少ないことが大事
当サイトで行ったアンケートの結果から職場環境の理想と現実のギャップが重要であることが見えてきました。
以下の職場環境に関する要望で、「あなたの理想はどちら寄りですか?」「現実の職場はどちら寄りでうすか?」という質問に回答してもらいました。
- 静かでシーンとしているよりワイワイにぎやかなオフィス
- クリエイティブな直感よりもロジカルな数字重視
- 個人プレーよりもチームプレー
- 確実性よりスピード重視
- 地方よりも都会勤務
- ルールを重視するよりルールにしばられない働き方
- 安定よりも挑戦
- 似たような人の集まりではなく多様性のあるメンバー
- お金が少なくてもやりがいがあればOK
- 優秀な経営者の意見に従うより、下の社員達のアイデアで動く
その結果、理想と現実とのギャップが少ないほど仕事・職場の満足度が高まることがわかりました。
先ほど価値観の章でも同様の結果を説明しましたが、「職場にいる人や会社の価値観」や「職場環境」についてしっかりと分析し、自分に近い環境を選ぶことによって仕事の満足度を高めることができるようです。
1-8. 成長感
1-8-1. 仕事で成長感を感じている人ほど満足度が高い
20代~30代の男女500人へのアンケートから、「仕事で成長を感じる」と答えた人は仕事の満足度が高まることが確認できました。
相関係数は0.49で、低くない数値となっています。
また、「成長感」と「仕事の楽しさ」「強みを活かせている」がそれぞれ関連を確認できています。
1-9. 会社の将来性・安定性
1-9-1. 会社の将来性や安定性を感じている人は満足度が高まる
こちらもアンケート分析の結果から、会社の将来性や安定性を感じている人ほど職場の満足度が高まることがわかりました(相関係数0.44)。
2. 満足度との関連が低い項目
2. 労働時間、勤務地、知名度・世間体
アンケートの分析結果より、以下の3ポイントはあまり仕事の満足度と関連しないことがわかりました。
- 労働時間
- 勤務地
- 知名度・世間体
特に知名度、世間体は満足度に対して最も影響度が低く、重視している人の満足度はあまり高くないというデータになっています。
就活の際には特に知名度や世間体を意識して職場を決める人は少なくないと思いますが、入社後にほとんど影響がなくなることを考えると、あまり意識して職場を決めるのはおススメできない状況です。